増築した建物の所有権
建物を増築した場合、お金を出した人と建物の所有者が同じであれば、増築部分は、当然、お金を出す所有者のものになります。ただし、お金を出した人と建物の所有者が違う場合、どちらに所有権はあるのでしょうか?
今回は、不動産の増築をテーマとして基礎知識をおさらいしたいと思います。
建物の増築部分の所有者とは
上記の建物の増築に関する点について、実は法律に記載されている箇所があります。それは、民法の第242条に不動産の附合と呼ばれる者です。これによると
不動産の所有者は其不動産の従として之に附合したる物の所有権を取得す。
と言うものです。
参考元:Wikipedia 「不動産の附号」
これは、簡単に言うと、ある建物部分を増築した場合、だれが増築しようとその増築部分は、当初の建物の所有者のものとなることを示します。
ここで、他人の建物に自分が進んで金を払って増築する人がいるのかと思われるかもしれません。ただ、親が所有している実家の増改築資金を、息子が負担することもありえます。
例としては、高齢などの理由で父親が増改築資金のローンを組めない場合(子供がローンを組むのも子供が資金を出したことになります。)や、一人前になった子供が二世帯向けにするためなどに自分で増築用の資金を準備し、その二世帯住宅の増改築をするような場合です。
贈与税に注意が必要
この場合父親所有の家屋に子供が費用を負担して増築したとしても、増築部分の所有権登記を子供の名前ですることはできません。つまり増築部分も以前の所有者である父親の所有とされてしまうのです。これが「不動産の附合」です。
よって家屋の所有者は父親で増築資金を出したのが子供であれば、父親は増築部分を子供から贈与を受けたことになります。増築家屋という利益を手にした父親から贈与税をもらいます、というのが税務的な視点から見た時の考え方です。
贈与税の対策
贈与税がかからない為の方法は、例として下記の二つの案が考えられます。もちろん、状況に応じてケースバイケースで、下記の2つの方法が必ずしも良い訳ではありません。
- 増築前の実家建物を父から子供が贈与を受けて、その後に増築する
- 増築前の家屋の評価額と増築費用の合計額に占めるそれぞれの割合に基づいて、父と子供の共有持分登記をする
贈与税のし点から、贈与税を納税したくないと言うだけなら上記の案2も可能ですが、この際子供の名義にした方が良いと言うような場合などは案1とすることも検討の余地が残されます。
いかがでしたか。不動産の取扱いは、上記の通り、民放の知識の他、贈与税や相続税と関わることも多く、十分に調べておくことも重要です。