土地の譲渡益に対する重課措置

当記事は、「土地の譲渡益に対する追加課税制度」と「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の税制改正内容をお知らせする内容です。

不動産税制

平成29年度の土地に関する税制改正

当記事のテーマは、下記の2つの土地に関する税制です。

  • 土地の譲渡益に対する追加課税制度
  • 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例

あまり馴染みがない税制となっていますが、納税者にとっては有利な取り扱いとなっている点に注目です。

平成29年度税制改正において、前者の重課措置である「土地の譲渡益に対する追加課税制度」の適用停止措置を平成32年3月31日まで延長することが盛り込まれました。

また、後者の軽減措置である「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」を平成31年12月31日まで、それぞれ3年間延長することが盛り込まれました。

土地取引の停滞などが当税制改正の背景にあるものと考えられます。

 

土地の譲渡益の重課措置とは

土地の譲渡益に対する重課措置は、さかのぼること昭和48年、当時、不動産の高騰を背景に法人などによる不動産投機を抑える目的で設定されました。

この制度では、個人が一定の土地等(棚卸資産)または雑所得の基因となる土地等を譲渡した場合には、所有期間が5年以下の土地等の譲渡による事業所得又は雑所得については、他の所得と分離して、譲渡益の52%(所得税40%+地方税12%)を、譲渡所得は39%(同30%+9%)をそれぞれ重課するものです。

一方、法人に対する土地の譲渡益については、通常の法人税とともに、所有期間が5年以内の短期所有のものは10%、5年超の長期所有のものは5%が追加課税されます。

しかし、これら措置については、90年代にはじまったバブル経済の崩壊を境に、地価については長期的な下落傾向にあったため、土地の流動化を通じた土地取引の活性化や有効利用を促進する観点から1998年から停止されています。現在も土地取引の停滞が懸念されることから、重課の課税停止措置が延長されたと考えられます。

 

長期譲渡所得の課税の特例

「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」は、一般的に住宅・宅地開発は事業期間が長く、コストやリスク等が高くなっていることから設けられたものです。

公的機関等への土地の譲渡を容易にするほか、一定の優良な事業を行う民間事業者等の用地取得を円滑化し、事業に要する期間の短縮化、事業に係るコストやリスクの軽減を図るものとなっています。

同特例は、所有期間が5年を超える土地等の譲渡のうちに、国や地方公共団体、一定規模の土地の造成を行う業者に優良宅地の造成等の譲渡がある場合に限り、税率が軽減される措置が適用となります。

こちらの制度も3年間延長となっています。

 

参照元:財務省「土地譲渡益課税制度の概要