不動産所有会社の家賃計上

今回のトピックスは、不動産法人の会計処理に関するQ&Aとなります。個人の不動産オーナーから会社設立して法人運営した場合には、個人の時との相違点についてご注意下さい。

不動産Q&A

個人の不動産オーナーですが、このたび、会社設立して不動産保有会社を設立しました。法人での帳簿処理と個人の時の帳簿処理で異なる点はありますか?
不動産所有会社を設立した場合、企業会計基準に準拠して会計処理を行うとともに、税務上、法人税法が適用されます。例えば、個人の時には、不動産所得を支払日で収益計上されていたかもしれません。ただし、法人化した後は、賃貸料収入について、企業会計基準や法人税法に基づき発生主義で計上するため前受家賃として処理します。

 

不動産賃料の収入計上時期は

法人の場合、不動産賃料収入について、法人税法基本通達では、下記の通り規定されています。

資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額は、前受けに係る額を除き、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該契約について係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該事業年度においてその支払を受けていないときは、相手方が供託をしたかどうかにかかわらず、その係争が解決して当該使用料等の額が確定し、その支払を受けることとなるまでその収益計上を見合わせることができるものとする。

出典:国税庁ウェブサイト「賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期」(法人税法基本通達2-1-29)

上記規定により、例えば翌月分の賃料収入について当月入金があった場合には、「前受収益」として処理する訳です。これに対して、個人の時にはこのような処理はせずに、不動産賃料の入金があった時点で賃貸料として処理されていたかもしれません。個人(所得税)と法人(法人税)の収益計上時期の相違に留意することが重要です。

 

不動産法人の会計処理

個人から不動産法人を設立した場合、上記の記帳の対応の他、様々な点に留意することが求められます。上記の記帳処理の他、法人化すると、役員報酬(経営者の給与)の支払いの発生や法人特有の管理業務等も発生します。不動産法人の設立や運営で不安がございましたら、お気軽に当税理士事務所へご相談下さい。