相続した土地の活用

確定申告

相続した土地で駐車場を営む個人事業主が、土地活用の方針を決めるにあたり、隣地地権者と土地境界の測量を行う場合も多いかもしれません。

その後、自身で活用する見込みがなくなり、当該土地の売却に転じた場合、測量費は確定申告における譲渡所得の計算上譲渡費用となりえるか疑問が残ります。

今回はこのような事例について簡単に説明したいと思います。

 

譲渡費用とは

所得税法では、譲渡費用の範囲を次のように規定しています。

①資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用

②借家人等を立ち退かせるための立退料、土地の上にある建物等の取壊費用、既に売買契約を締結したが更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除した際生じる違約金、その他譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用

国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm

土地の売却方針決定前に支出した測量費が譲渡のため直接要した費用に該当するかは、例えば不動産仲介会社に土地売却の意思を伝え、媒介契約を締結して売却活動に入り、買主が見つかり売買契約の中で境界確定が条件とされ引渡しに至れば要件を充たす可能性があると考えられます。

 

取得費または維持管理費

譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持管理費用は、譲渡費用に含まれず、土地の測量費は各種所得金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入するとされています。

土地の売却方針が定まらない場合には、測量費を取得費とするか、アパート賃貸への転用、駐車場の継続等を想定して隣地との紛争予防をはかるため不動産所得の必要経費(維持管理費)とすることが考えられます。

 

概算取得費に留意

相続で取得した土地を譲渡する際、土地の取得価額が不明であれば、概算取得費として土地譲渡代金の5%相当額を控除することができます。

ただ、概算取得費を計上する場合、測量費など支出した取得費は、譲渡所得金額の計算上、控除できなくなりますので測量費を取得費とする場合は注意が必要です。

確定申告期限までに土地等の売却方針が決まらないとき測量費を維持管理費か取得費とするかを含め状況に応じた判断が求められます。