コロナ禍における公示地価の動向

公示地価の動向

国土交通省は2021年1月1日時点での公示地価を公表しました。

出典:国土交通省サイト「全国全用途平均で6年ぶりに下落、コロナ禍の影響は用途や地域で異なる

2020年から始まった新型コロナウィルスの感染拡大が影響したこともあり、住宅地、商業地、工業地などを含む全用途の平均値はマイナス0.5%となり、6年ぶりにマイナスになりました。

これまで前政権・安倍政権における株高傾向の上、訪日する海外観光客の増加、東京オリンピックに向けた大規模先行開発などによって牽引されてきた地価の上昇傾向がかき消される形となりました。

 

福岡の地価はプラス維持

住宅地では新型コロナウイルスによる雇用環境が悪化したこと、それに伴い住宅購入に慎重な姿勢が広まりました。全体的にみると、その結果、2020年0.8%プラスだった住宅地の地価ですが、0.4%の下落と5年ぶりにマイナスに転じました。

地価の上昇を保った地域としては福岡が挙げられます。以前から福岡の不動産市況に勢いがありましたが、コロナ禍でも、プラスをキープしたのは福岡の勢いの強さを示しています。

その他の地方圏では、札幌、仙台、広島が上昇しています。3大都市圏などは軒並み下落しています。ただし都心の高級物件のあるエリアや交通の便の良い郊外などは上昇を保っている地域もあります。

 

商業地の影響は大きい

不動産

新型コロナウィルスが最も影響したのが商業地といえます。

海外からの訪日客がほぼゼロに近くなったことに加えて、日本国内でも外出を自粛しようとする動きが広まり、旅行や外食に行くニーズの減少に合わせて、これらに関連する産業に打撃を受け、観光地や繁華街など地下の下落が大変目立っています。

商業地はなんと7年ぶりのマイナスとなる0.8%下落しました。

特に海外からの訪日観光客に大変人気の高かった大阪中心部の繁華街南では全国の下落率トップ10のうち8つを占める格好となりました。

2020年9月、100年の歴史を閉じた老舗ふぐ料理店づぼらやがある大阪市中央区道頓堀1丁目では、2020年には24%も上昇しましたが、今回は一気に28%もに落ち込みました。

一方上昇幅は縮小したのですが用途別で唯一プラスとなったのが工業地です。

新型コロナウィルスによる巣ごもり需要がインターネット通販の利用拡大を促した結果、物流施設に関連する余地のニーズが高まっていきなんと日本全国で0.8%の上昇にもいたりました。

公示地価が最も高かったのは15年連続で東京の中央区銀座の山野楽器本店の地価です。しかし、地価は53,600,000円で前年からは4,100,000円もの下落となり、9年ぶりにマイナスとなりました。