いよいよ実務編 ― 設立は5つのステップ

第4回は、福岡で不動産法人を設立する具体的な手続きを解説します。

設立はおおまかに、①基本事項の決定 → ②定款作成 → ③出資金払込み → ④登記 → ⑤設立後の届出、の5ステップで進みます。

順を追って見ていきましょう。

STEP1:基本事項の決定

最初に、会社の基本となる以下の項目を決定します。これらは定款と登記簿に記載され、後から変更すると追加コストが発生するため慎重に決める必要があります。

① 商号(会社名)

不動産法人では「○○不動産」「○○ホールディングス」「○○資産管理」などが多く使われます。

同一住所での同一商号は登記できないため、福岡法務局の窓口や法人検索で事前確認が必要です。

② 本店所在地

福岡市内に本店を置く法人の商業・法人登記は、原則として福岡法務局本局の管轄となります。

自宅住所を本店とするか、賃貸事務所とするかを選択。

自宅本店の場合は賃貸借契約・管理規約上の制限がないか確認しましょう。

③ 事業目的

不動産法人の場合、最低限以下のような目的を盛り込みます。

  • 不動産の賃貸、管理及び売買
  • 不動産の所有、運用及び管理
  • 太陽光発電による電力の販売(必要に応じて)
  • 前各号に附帯関連する一切の事業

将来予定する事業も盛り込んでおくと、後の目的変更登記コスト(3万円程度)を回避できます。

④ 資本金

法律上は1円から設立可能ですが、信用力・融資・消費税の観点から、不動産法人では100万円〜500万円程度が一般的です。

資本金1,000万円以上にすると、設立初年度から消費税課税事業者となるため注意が必要です。

⑤ 決算月

3月決算を選ぶ法人は多いですが、不動産法人では繁忙期や税務申告の準備期間を考慮して決めるのが合理的です。

たとえば4月決算なら、繁忙期(3月)と決算月をずらせます。

設立初年度を長く取れる決算月にすることで、初年度の役員報酬設計や経費計上の期間を確保しやすくなります。

⑥ 役員構成・出資比率

家族を役員にする場合、誰をどのポジションに、誰がどれだけ出資するかも重要です。

将来の相続・贈与を見据えて、最初から配偶者・子を出資者にしておくケースが多くあります。

STEP2:定款の作成と認証

定款は会社の根本規則です。商号・所在地・目的・資本金・役員構成・株式の譲渡制限などを記載します。

  • 株式会社:公証役場で定款認証が必要。認証手数料は資本金等に応じて原則3〜5万円程度です。紙の定款では収入印紙4万円が必要ですが、電子定款では不要です。
  • 合同会社:定款認証は不要です。紙の定款では収入印紙4万円が必要ですが、電子定款では不要です。

福岡市内であれば、福岡公証人合同役場(中央区天神)や博多公証役場で認証手続きを行います。

STEP3:出資金の払込み

定款で定めた資本金を、発起人個人の銀行口座に振り込みます(法人口座は登記後でないと開設できないため)。

通帳の表紙・氏名ページ・振込が記載されたページのコピーを取り、「払込証明書」を作成して登記書類に添付します。

STEP4:法務局での設立登記

福岡市内に本店を置く法人は、原則として福岡法務局本局(福岡市中央区舞鶴)で設立登記を行います。

必要書類は以下のとおりです。

  • 登記申請書
  • 定款(認証済み)
  • 代表取締役の就任承諾書、取締役の就任承諾書
  • 払込証明書
  • 印鑑届出書(法人実印の届出)
  • 登録免許税の収入印紙(株式会社15万円〜、合同会社6万円〜)

登記申請日が法人の設立日となります。

登記完了までの期間は時期や法務局の処理状況により異なりますが、通常は数営業日〜10営業日前後を見込んでおくとよいでしょう。

STEP5:設立後の各種届出

登記が完了したら、設立後速やかに以下の届出が必要です。

これを忘れると青色申告や消費税の有利選択ができなくなるなど、税務上不利になることがあります。

提出先主な書類期限
所轄税務署
(福岡税務署、博多税務署、小倉税務署などの各地域の税務署)
法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書 など法人設立届出書は設立後2か月以内。青色申告承認申請書は、設立後3か月以内または第1期終了日の前日のいずれか早い日まで
福岡県税事務所法人設立届出書設立の日から15日以内
福岡市等の市町村法人等の設立申告書設立の日から10日以内
年金事務所健康保険・厚生年金保険新規適用届事実発生から5日以内

設立にかかる費用の目安

項目株式会社合同会社
定款認証3〜5万円程度不要
登録免許税15万円〜6万円〜
定款印紙4万円(電子定款なら不要)4万円(電子定款なら不要)
司法書士・税理士費用10〜20万円10〜20万円
合計目安30〜45万円20〜30万円

このほか、印鑑作成費(1〜3万円)、登記事項証明書・印鑑証明書の取得費用が発生します。

第4回まとめ

設立手続き自体は流れに沿って進めれば完了しますが、商号・事業目的・資本金・決算月など「最初に決める項目」が後の運営に大きく影響します。特に決算月の選択は節税効果に直結するため、税理士と相談しながら決定することをおすすめします。

次回(最終回)は「設立後の運営と税務 ― 節税・相続対策・運営の注意点」を解説します。

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