
国税庁は令和8年7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる「路線価」(令和8年分・令和8年1月1日時点)を公表しました。
【参照元】令和8年分の路線価等について(国税庁公式ウェブサイト)
福岡県内の標準宅地の路線価は前年比平均4.2%の上昇となり、依然として高い上昇率を維持しています。
不動産を保有・運用されているオーナーの皆様にとって、路線価の動きは相続税評価額だけでなく、資産管理会社の活用戦略や今後の物件取得・売却判断にも関わる重要な指標です。
今回は不動産オーナーの視点から、令和8年分路線価のポイントを整理します。
福岡県内トップは今年も「天神・渡辺通り」、再開発効果は継続
福岡県内で最も路線価が高かったのは、今年も福岡市中央区天神2丁目の「渡辺通り」で、1平方メートルあたり992万円(前年比2.5%上昇)となりました。
「天神ビッグバン」がスタートした2015年からの10年で、渡辺通りの路線価は約2倍に上昇しており、再開発による資産価値の押し上げ効果が長期にわたって続いていることがわかります。
天神・博多エリアに収益物件をお持ちのオーナーにとっては、含み益の拡大とともに、相続税評価額の上昇につながる可能性がある点に注意が必要です。
「福岡都市圏」が県境を越えて拡大
今回特に注目すべきは、福岡県(4.2%上昇)よりも隣接する佐賀県(4.5%上昇)の伸び率が上回ったことです。
福岡市への通勤圏として、久留米市や佐賀市周辺のベッドタウン需要が高まっており、都市圏の影響が県境を越えて広がりつつあることをうかがわせる結果となりました。
福岡市中心部の地価上昇が一巡し、投資対象としての目線が郊外・近隣県へと広がっている表れとも言えます。
今後、賃貸需要や物件取得のエリア戦略を検討される際には、こうした都市圏拡大の動きを踏まえた立地選定が重要になります。
路線価上昇が不動産オーナーに与える3つの影響

① 相続税・贈与税評価額の上昇
路線価は相続税・贈与税における土地評価額の基準です。
地価上昇局面では、これまで想定していたよりも評価額が高くなり、相続税額が増加する、あるいは新たに相続税の課税対象となるケースが生じます。
複数物件を保有されているオーナーほど影響が大きくなる傾向があるため、最新の路線価に基づく評価額の見直しが欠かせません。
② 資産管理会社の活用メリットの再検証
土地の評価額が上昇するほど、個人所有のまま相続を迎えた場合の税負担は重くなります。
一方、資産管理会社を活用することで、所得分散や将来の株式承継、資産承継を見据えた保有体制の構築など、個人所有とは異なる選択肢を検討できるケースがあります。
路線価改定のタイミングは、資産管理会社の設立・活用を含めた資産戦略や保有形態を見直す良い機会です。
③ 物件の取得・売却タイミングへの影響
地価が継続的に上昇するエリアでは、取得価格が高くなる一方で、将来的な資産価値の上昇も期待できます。
エリアごとの将来性を見極めながら投資判断を行うことが重要です。
特に福岡都市圏の拡大が示すように、今後値上がりが見込まれるエリアと、すでに上昇が一巡したエリアを見極めることが、今後の物件取得戦略において重要です。
不動産オーナーが今、確認しておきたいこと
- 保有物件の最新路線価に基づく相続税評価額の把握
- 資産管理会社(不動産法人)を活用した場合の税負担シミュレーション
- 資産管理会社への移転や法人保有のメリット・デメリットの検証
- 賃貸物件の収益性と評価額上昇のバランスの見直し
- 生前贈与や資産の組み換えなど、時間をかけた対策の検討
路線価は毎年見直されるため、以前試算した評価額がそのまま今年も当てはまるとは限りません。特に複数物件を保有されている方、資産管理会社の活用を検討されている方は、最新の路線価をもとに、専門家とともに現状を確認しておくことをおすすめします。
宮川公認会計士事務所では、不動産オーナーの皆様に向けて、最新の路線価を反映した相続税評価額の試算から、資産管理会社の設立・活用、生前贈与を含めた資産承継対策まで一貫してサポートしております。また、プライベートカンパニー等にも対応しております。
保有物件やご家族構成に応じた最適な資産戦略をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。








